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10年の時を経て遂げたエボリューション!! さぁ私のぼやきを聞いておくれ!
2024/11月

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ドン・シーゲルと言えば、「ダーティハリー」や「アルカトラズからの脱出」などクリント・イーストウッドとのコンビで知られる有名な監督でしたが、彼の隠れた名作アクション「突破口!」を拝見。監督・製作をドン・シーゲルが担当し、音楽は、「ダーティハリー」シリーズや、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」の音楽を担当したラロ・シフリン。主演は、「マシンガン・パニック」などのアクションものや、「がんばれ!ベアーズ」の監督役など、コメディものでも活躍したウォルター・マッソーが務めている。


曲芸飛行のパイロットとして名を馳せ、今は農薬の空中散布の仕事をするチャーリー・バリック(ウォルター・マッソー)は、銀行強盗犯のリーダーという裏の顔を持つ。いつものように妻のナーディンと仲間達と共に、田舎の小さな銀行を襲撃し、現金を手に入れるが、銀行内で仲間の一人が撃たれ、車の運転を担当していたナーディンが警官に撃たれて重傷を負ってしまう。追っ手のパトカーを振り切った後、チャーリーは、命を落としたナーディンを車に残し、爆弾を仕掛けた後、相棒のハーマンと別の車に乗り換えて再び逃亡。その途中、パトカーと出会い、車に積んである荷物を見せるよう警官に要求されるが、丁度その時、逃走車に仕掛けていた爆弾が爆発し、山の麓で大きな炎が上がる。それに気づいた警官は、パトカーに乗り込んで爆発現場に向かい、チャーリー達は、隠れ家のトレーラーハウスに戻る。


チャーリーと警官が話し合っている最中に、画面の奥のほうに見える山の麓で逃走車が爆発する。画面の前に立つ二人と、遠くで爆発する車を1カットで見せてしまう演出が圧巻。当時は、当然CGもないし、ぶっつけ本番でやったんでしょうが、絶妙のタイミングで炎が上がって驚いた。



現金を確認したところ、75万ドルあり、予想以上の大金が手に入って喜ぶ二人。だがそれもつかの間、ニュースで、銀行の被害額が2千ドル以下であったという情報を聞いたチャーリーは、この現金がマフィアの隠し金であると勘付き、数年の間、盗んだ金を使用しないことを決める。チャーリーは、メキシコに高飛びするため、まず銃砲店に出向いて、飛行機を改造する部品を入手し、そこの店主に紹介された写真家の女に偽パスポートを注文する。しかし、マフィアに雇われた殺し屋モリーがその動きを嗅ぎつけチャーリーの居所を割り出し、トレーラーハウスに残っていたハーマンを殺害してしまう。



  
ハーマン役は、ダーティハリーで異常な殺人鬼さそりを演じたアンドリュー・ロビンソン(左)。さそり役の好演で監督に気に入られたのか、ダーティハリーに続き、ドン・シーゲルの作品に連続出演していたようですね。しかし、この作品では、さそりほどの強烈な演技は見られず、目立った活躍もなかったのが残念。チャーリー達が襲った銀行の頭取ボイル役は、これまたダーティハリーでサンフランシスコ市長役を演じていたジョン・バーノン(右)。ジョン・バーノンと言えば、ナイトライダーやエアーウルフにもゲスト出演し、ナイト2000やエアーウルフを奪い取る役どころ(両作品で似た風な役柄を熱演)を演じていましたが、この人もドン・シーゲルやクリント・イーストウッドのお気に入りの俳優さんだったようですね。



巧みに警察やマフィアの追っ手を擦り抜けて、スリリングに逃げ回るチャーリーのクールな姿と行動力が実にカッコ良い。冒頭の黄色いリンカーンの暴走シーンも迫力がありましたが、やはり一番印象に残ったのは、クライマックスのアクションシーン。取引場所の廃車置き場にやってきたチャーリーの乗る複葉機と、それを追うモリーの車が激しいチェイスを繰り広げる。モリーの車に進路を妨害されて、あちこちに方向転換するも中々離陸できないチャーリーの複葉機。迫力のあるチェイスシーンでしたが、このシーンを見た時、エアーウルフのある場面を思い出した。


輸送機のスクラップ場から飛び立とうとしていたエアーウルフの前に複数の敵のヘリがあらわれ、上空を取り囲みエアーウルフの離陸を阻む。しかしその時、ホークは、ターボを使用し、エアーウルフは、滑走路を急スピードで走り抜けてそのまま飛び上がり、敵の包囲網を突破する(詳細は、このページを参照の程)。エアーウルフ屈指の名場面だった。この映画でも同じくチャーリーの複葉機が何回も方向転換して、離陸を試みようとするが、残念ながらエアーウルフのようにはうまく行かず、複葉機は転覆し、チャーリーは、コクピットの中で身動きが取れない状態に。いよいよ追いつめられたチャーリーが、またしても巧みな方法で華麗に危機を切り抜けるところが面白かった。


主演のウォルター・マッソーは、やはり良い役者だなあ。最初は、役に合っていない感じに見えたが、ただの気の良さそうなおっちゃんではなかった。リアルでもっと彼の作品を見てみたかったですね。アンディ・ロビンソンとのコンビネーションも良かった。ドン・シーゲルのアクション演出も切れ味抜群だった。




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