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10年の時を経て遂げたエボリューション!! さぁ私のぼやきを聞いておくれ!
2024/11月

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夜8時に放送するアクション番組を製作するに当たり、ユニバーサルは、「未来の車を登場させる」と言うコンセプトの元「ナイトライダープロジェクト」を進行させた。しかし、そのプロジェクトには一抹の不安もあったようで、それは、1960年代に製作された「母さんは28年型」の失敗によるものだった。「母さんは28年型」は、死んだ母親の魂が1928年式のT型フォードに乗り移り、そのフォードが息子と会話をしたり、危機を救うファンタジックなSFコメディドラマで、日本でもフジテレビで放送されたが、アメリカでは、「これまでで最悪のドラマ」と酷評されたドラマだった。


その影響で、このプロジェクトは、当時の名立たるプロデューサー達からことごとく断られてしまったが、そんな中、白羽の矢が立ったのは、当時「トラック野郎!B・J」や「俺たち賞金稼ぎ!フォールガイ」などのカーアクション番組をヒットさせたグレン・A・ラーソンだった。ナイトライダーの構想を練るに当たり、ラーソンは、「2001年宇宙の旅」に登場した意思を持つコンピュータHALと、HALと対立する宇宙飛行士デイブのような主人公を登場させ、2001年の未来との関連性も持たせながら、時代の数歩先を行く番組作りをめざした。


そもそもナイトライダーのコンセプトの発端は、ラーソンがプロデュースした「トラック野郎!B・J」のシーズン2の第3話「Cain's Cruiser」に登場したコンピュータ搭載のスーパーカーで、プロトタイプのスーパーカーが短気な警察署長に乱用されていて、BJがその車を取り戻すと言うストーリーだった。このスーパーカーのような車を起用した新しいシリーズを考えてくれと依頼を受けたラーソンは、ホノルルへ向かい、僅か10日間でパイロット版の脚本を書き上げた。


最初に書かれた脚本と放映された作品を比べると、随分違いがあったようだ。例えば、「キット」は、脚本では、「タット(T.A.T.T.)=Trans Am Two Thousand」になっていたが、その後ナイト2100に変更され、最終的にナイト2000になった。車はナイト2000、キットは搭載されているコンピュータのことであり、車は車で、キットは別ものだとラーソンは語っている。また、脚本にはウィルトン・ナイトの葬式のシーンや、マイケルがスタントカーレースの賞金の授与式のシーンで、タニヤとその一味を捕まえるという、全く違ったエンディングも書かれていた。


その後、ラーソンは、キットのボディになる車体選びと未来っぽさを演出するデザイン作りに全精力を注ぎ込んだ。キットのボディの候補になったのは、当時まだデザインが改良されて間もない1982年型のポンディアック・トランザムだけであった。単純に車の見た目が気に入ったそうだ。それまで映画に出てくる車と言えば、みんな色々な仕様が施されたが、トランザムは、極めてスッキリしていたのでほとんど変える必要がなかった。ラーソンがGM(ゼネラルモーターズ)の代理に話を持ちかけると、彼らはその話に色めき立ち、最初の数台は、生産ラインに乗っていたものをそのまま番組に寄付したほどだった。その直後、ディーラーに運ばれる予定だった32台の新車のトランザムを積んだ列車が脱線事故を起こした。それらの大多数は少し凹んだり、かすり傷がついたものの、ほぼ新車同然であった。スクラップにするには程度が良すぎるので、それらの車も全て番組に寄付された。ラーソンは、提供されたその車の半分をナイトライダーに使い、残りの半分を「俺たち賞金稼ぎ!フォールガイ」のスタントカーに使った。


ナイト2000の特徴的なデザインとして、キットの「目」の役割を果たしたフロントスキャナーのアイデアの出所は、やはり、ラーソンが手掛けた「宇宙空母ギャラクティカ」に登場するサイロン兵のスキャナー・ライトバーから発展したものだった。こういう機能をつければかっこいいし、車に人格や神秘性を与えることができ、ある種のパワーを持たせることができる。暗い倉庫の中でスキャナーが動くと、キットが起動したことがわかるし、導入シーンとしてはとても効果的だった。




以上の文献は、「ナイトライダー・コンプリートブック」から引用したものであり、一部省略しております。プロデューサーを務めたグレン・A・ラーソン氏のナイトライダー製作の苦労話や裏話がたくさん掲載されているので、従来のファンの方々はもちろんのこと、新たにナイトライダーに興味を持った方々もぜひご一読いただればと思います。グレン・A・ラーソン氏は脚本家としても活躍し、ナイトライダーのパイロット版の脚本も担当されました。映画ではなく、テレビシリーズでこのような夢のあるSFカー作品を実現させたラーソン氏の偉業を称えるとともに、改めてこの作品と巡り合えたことを感謝致します。グレン・A・ラーソン氏は、11月14日食道癌により死去されました。ご冥福をお祈り致します。





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KITTは最初「TATT」になるはずだった・・・
ガースさん、こんばんは。

>≧最初に書かれた脚本と放映された作品を比べると、随分違いがあったようだ。例えば、「キット」は脚本では「タット(T.A.T.T.)=Trans Am Two Thousand」になっていたが、その後ナイト2100に変更され、最終的にナイト2000になった。また、脚本にはウィルトン・ナイトの葬式のシーンやマイケルがスタントカーレースの賞金の授与式のシーンでタニヤとその一味を捕まえるという、全く違ったエンディングも書かれていた。

>「電子頭脳スーパーカー誕生」の初期稿ではKITTの名前がタットとなっていたり、ウィルトン・ナイトの葬式やスタントレース(本編でいうデモリションダービー?)の表彰式でタニヤ一味が御用になる…と言う展開が用意されていたとは知りませんでした。

ウィルトン・ナイトの葬式が本編に採用されていれば、〝デボンとマイケルがナイト氏の最期に立ち会う→「カリフォルニアにタニアがいる」ことを知り、シリコンバレーへ行こうとするマイケルに「マイケル・ナイト名義の免許証やクレジットカード・車検証」をデボンが手渡す”の間にウィルトン・ナイトの葬儀のシーンが挿入されていたのではないのか?と思いました。

それにしても、KITTのフロントスキャナーが「宇宙空母ギャラクティカ」のサイロン兵の目をヒントにしていたりグレン・A・ラーソンがGMに掛け合って劇用車を提供した…と言うエピソードを読むと、ナイトライダーはグレン・A・ラーソンの存在が大きかったことに気づきました。

話がそれますが、「ナイトライダー・コンプリート ブルーレイBOX」が今月リリースされますが、今回のブルーレイ化に際して日本未放映エピソードを当時のオリジナルキャストで吹き替え収録するそうですね。

こうなると、このブログで紹介された「Silent Knight」やKITTのインジケータがリニューアルされる「Hearts of Stone」やジーン・ブルース・スコットがゲスト出演する「A Nice, Indecent Little Town』もようやく日本語吹き替えで収録されるのかな?と感じました。

 



9人のコリない日本人 2014/11/19(Wed)18:59:39 編集
Re:KITTは最初「TATT」になるはずだった・・・
>「マイケル・ナイト名義の免許証やクレジットカード・車検証」をデボンが手渡す”の間にウィルトン・ナイトの葬儀のシーンが挿入されていたのではないのか?と思いました。
ウィルトンが病床で亡くなる→マイケルがナイト財団の研究所でナイト2000と対面するシーンのつながりは確かに唐突感がありましたから、そこにウィルトンの葬儀のシーンがあっても良かったのではと思いますね。ウィルトンの葬儀てどんなものなのかとても興味深いし見てみたかったですね。

>ナイトライダーはグレン・A・ラーソンの存在が大きかったことに気づきました。
ラーソンがいなかったらナイト2000は生まれなかっただろうし、テレビドラマでこのような面白いカーアクションドラマは見られなかったでしょうね。そう思うとやはりラーソンは偉大です。

>こうなると、このブログで紹介された「Silent Knight」やKITTのインジケータがリニューアルされる「Hearts of Stone」やジーン・ブルース・スコットがゲスト出演する「A Nice, Indecent Little Town』もようやく日本語吹き替えで収録されるのかな?と感じました。
まさかこれらの未放映エピソードがオリジナルキャストの吹替えで見られるとは思っていなかったので、一報を聞いた時は本当に嬉しかったですね。別の声優になっていたらやはり違和感を感じてしまうし、多少御年を召されて当時と声が違ったとしてもやはりオリジナルキャストていうのが物凄く価値があると思います。
【2014/12/09 23:28】
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