特撮ヒーロー番組に欠かせないオープニング曲とエンディング曲。熱い曲、魂を揺さぶる曲、パワフルな曲、切ない曲、思わず涙してしまいそうな曲…様々な名曲がたくさんありました。OPは、カッコ良くて熱いのに、EDは、哀愁のある曲だったり、ラブソングだったり、おちゃらけた曲もあったりと作品によって様々な趣きがありましたね。そう言えば、平成ライダーは、エンディング曲がカットされていますが、EDがないとどことなく締まりが悪いし、物足りない印象を受けます。と言うことで個人的に印象に残ったしっとり哀愁系のEDをご紹介致します。
「眠れマッハバロン」
<作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫/歌:すぎうらよしひろ>
スーパーロボット・マッハバロンは、1974年に放送された巨大ロボット特撮作品。当時大流行していたグラムロックを取り入れた主題歌は、ヒーロー番組としては、かなり挑戦している印象を受けます。「蹂躙されて黙っているか」など、子供番組とは思えない深みのあるフレーズと、パワフルなボーカルにも度肝を抜かされました。それに相反してエンディングは、反戦ソングと思しき哀愁感溢れる名曲。イントロから何やら特撮ヒーローとは思えぬピアノのイントロが流れて、歌い出しからとても切ない。「戦う機械で無くしてあげたい」と言うフレーズがとくに耳に残る。全ての戦闘ロボット達に送る鎮魂歌と言う感じで、とても心に染み渡りました。
「おれの名はマシンマン」
<作詞:八手三郎/作曲・編曲:大野雄二/歌:MoJo>
仮面ライダーバースのモチーフになったと思われる星雲仮面マシンマン。リアルタイムでは、超電子バイオマンと放送時間がかぶっていた(関西では両方とも金曜の夕方5時30分に放送されていた)ので、ビデオで録画してよく見ていました。作曲はルパン三世やコブラなどのアニメや、大追跡、大激闘など刑事ドラマのOPテーマも手掛けた大野雄二氏が担当されています。イントロからサックスの音が入り、アダルトな雰囲気が漂う。甘く切ない大人のメロディが心地良い。合間に入るフルートやシンセサイザーのしなやかな旋律が美しく、一際印象に残ります。バトルフィーバーやゴーグルファイブなどでもお馴染みのMoJo氏の歌声もシブくて美しい。
「LONG LONG AGO, 20TH CENTURY」
<作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/歌:坂井紀雄>
「仮面ライダーBLACK」は、昭和の終わり頃に放送されたライダーでしたが、そう言えば、まだライダーにもエンディング曲があった時代でしたね。古き良き昭和のあの時代をも回想させるこの名曲。あの頃よりも男達は自由に憧れなくなったのか?女達に優しさは消えたのか?四季は消え、自然は崩れ、海の色は輝きを失ったのか?色々と問われているような気がして、21世紀になった今聴くと考えさせられます。いつまでも人の胸にぬくもりがあり続けて欲しいですね。
そして、新ライダーの予告も始まりました。「仮面ライダー鎧武(ガイム)」は、フルーツと鎧がモチーフの戦国武将ライダー。久しぶりに多数のライダーが出るようで、モチーフが西洋鎧の仮面ライダーバロンや中華鎧の仮面ライダー龍玄などのライバルライダーが登場するそうです。マスクのデザインは、結構好きかなあ。後は、動きを見てみないとわかりませんが、馬に乗って走っている姿は、中々カッコ良かった。
コヨミの正体と、笛木と名乗る男が魔法使いとファントムの両方を操っていたことが明らかになり、終盤になってかなりシリアスな展開を見せるウィザード。メデューサのゲート・稲森美紗の妹の真由が仮面ライダーメイジに変身したり、終盤になっていろんな人が魔法使いになっていますが、その一人の山本さんを演じる役者さん、どこかで見たことがある顔だと思っていたら、やはり。仮面ライダー響鬼で轟鬼役をやっていた人でしたね。
ウィザードは、スピーディかつ華麗な連続技を見せるなど、アクション面もなかなか良かったのですが、個人的に印象に残ったのは、25話で仮面ライダービーストがワータイガーにかけた「キン肉バスター」らしき技。昔からプロレス技を使うヒーローは、たくさんいますが、キン肉バスター的な技を使ったヒーローは初めてだったのでかなりインパクトがあった。過去にもプロレス技を使うライダーがたくさんいましたが、その中で強烈に印象に残っている場面をいくつかご紹介致します。
仮面ライダーバース
(仮面ライダーオーズ第33話より)
相手の頭部を両足で挟んで、後方に回転し、相手の頭をマットに叩きつける技「フランケンシュタイナー」を使っていた。マットでない場所で使うのは、かなり危険だと思うが、このシーンでは、背中から叩きつけていた。バースは、他にもいろんなプロレス技を使って戦っていましたね。
仮面ライダー・スカイライダー
(劇場版:仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王より)
劇場版で初めて見せた「パイルドロップ」と言う技は、垂直飛びして、空中で敵の体を逆さにし、敵の両足を掴んで急速落下して、杭打ちのような状態で地面に叩きつける。「キン肉ドライバー」とよく似ていた。
仮面ライダーV3
(第14話「ダブルライダー 秘密のかたみ」より)
これは、プロレス技と言うか普通のキックなんですが、なんとV3が5mぐらいの高さの崖の上から飛び降りて、滝壺の水の上に立っているガマボイラーに直接キックを浴びせる。このシーンの凄いところは、V3が実際に崖から飛び降りて、ガマボイラーにキックが当たるスレスレのところまでを1カットで撮影しているところ。とても迫力かつ強烈なインパクトのあるキックシーンだった。
Wライダー誕生には、この方が大きく関わっており、そのエピソードは、伝説となっています。仮面ライダー=本郷猛を演じる藤岡弘氏が撮影中にバイク事故に遭い、番組から降板することになった時、スタッフの中から本郷猛を死亡させる案が出ていたそうですが、「子供達の夢を壊すわけにはいかない」と、平山氏は、それを拒否し、2号ライダーを誕生させて、藤岡氏の復帰を待ち続けたと言う。もし、平山氏の反対がなければ、Wライダーの誕生はおろか、一連の昭和ライダーシリーズの展開は生まれず、また平成ライダーも生まれていなかったかもしれない。
風の知らせなんでしょうか、Wライダーのことを書いた一週間後にこの訃報を聞くことになろうとは。しかも、その記事を書いてから久々に仮面ライダーが見たくなって、二日前に亡くなられた事を知らずに最終話が入ったDVDを見ていた。残念ながら、仮面ライダーもゴレンジャーもキカイダーも再放送の世代なんですが、とくに1970年代に生み出された東映の特撮ヒーローは、ほとんどこの方が関わっておられます。また、ヒーロー番組で今でもよく目にする「八手三郎」。実は元々は、平山氏のペンネームだったそうです。子供の頃、この八手三郎のことがとても気になって、どんな凄い方なのかととにかく顔を見てみたかったので、テレビマガジンやらその他のヒーロー雑誌で探し捲くったけど、どんな本を見ても八手三郎の姿は、一切見かけなかったし、謎が膨らむばかりでしたね。なお、現在は、東映のテレビプロデューサー集団の共同ペンネームになっているそうです。
八手三郎と言えば、アキバレンジャーのシーズン痛の劇中に、入院している八手三郎の姿が映っていたが、今思うと意味深な展開でしたね。アキバレンジャー達もイエローフォーやタイムファイヤー等と共に全員消えてしまったし…。まさに日本のヒーローの生みの親。本当にたくさんの作品を楽しませて頂きました。平山亨氏のご冥福をお祈り致します。
戦隊シリーズでは、新戦隊と旧戦隊がそろって戦うVSシリーズがありますが、劇場で公開された「秘密戦隊ゴレンジャーvsジャッカー電撃隊」で、初めてゴレンジャーとジャッカー電撃隊が共演し、クライム四天王と戦った。当時はまだスーパー戦隊シリーズと言う括りはなく、両作品は、石森章太郎の作品として数えられており、次作のバトルフィーバーJ以後の作品では、VSシリーズは制作されていない。とくに電子戦隊デンジマンと太陽戦隊サンバルカンのVSシリーズは、見たかった。デンジマンの敵であったへドリアン女王がサンバルカンにおいて復活するなど、唯一作品の世界につながりがあったので、作られていればきっと共闘話は、盛り上がったに違いないと思うが、残念ながら実現しなかった。VSシリーズは、平成に入ってから東映Vシネマで復活し、「超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー」以降、現在まで続けられている。と言うことで、特撮ヒーロー史に残る共闘話をいくつかご紹介致します。
『仮面ライダー』
仮面ライダー1号・本郷猛役の藤岡弘氏が撮影中にバイクで転倒して重傷を負い一時降板、14話から急遽仮面ライダー2号・一文字隼人が登場するが、このアクシデントによって1号2号の「ダブルライダー」が生まれることになった。そのダブルライダーが初めて共演したのが第40話「死斗!!怪人スノーマン対二人のライダー」。スイスからやってきた死神博士とスノーマンを追って日本に戻ってきた本郷猛(一文字が日本で戦っている間、本郷は、海外のショッカーと戦っているという設定になっていた)が一文字隼人と初顔合わせをし、そして、2人のライダーが初めて一緒に戦った。このダブルライダー回は、1972年の正月に放送され、20%を超える高い視聴率を記録した。当時の子供達も初のライダー共闘に大熱狂したのでしょうね。
『キカイダー01』
最近、映画化が噂されている『人造人間キカイダー』ですが、土曜夜8時のゴーデンタイム枠に放送され、当時の人気番組だったドリフの『8時だョ!全員集合』と視聴率で戦い、見事高視聴率を獲得。キカイダーは、ドリフと戦った唯一の特撮ヒーローでもあるんですね(笑)。そして、キカイダーの成功によって新たに作られたのが「キカイダー01」。キカイダーより先に作られた言わばプロトタイプであり、01=イチローは、キカイダー=ジローの兄に当たる。01は、仁王像の中に3年間封印され、悪のエネルギーの増大を察知して眠りから覚ますと言うインパクトのある登場の仕方をしている。キカイダーとは違って完全な良心回路を持つが、太陽電池によってエネルギーを吸収しているため、太陽が照っていない場所では、戦闘力が通常の10分の1に落ちてしまう弱点がある。第2話のハカイダー部隊との戦いにおいて、01は、両足を損傷し、その弱点によって危機に陥るが、続く3話「帰って来たジロー キカイダー」にあのキカイダーが登場し、01の危機を救う。
この回で初めて、キカイダーと01がそろい、以後数度に渡って共闘することになる。キカイダーは、ギルの笛の音が弱点だったが、01は、太陽電池が動力源なので、戦える場所が限定されてしまうのが難点。戦闘ロボットとしては、結構大きな弱点ですよね。やはり、キカイダーのほうが優秀なのか…。
「宇宙刑事ギャバン」
父・ボイサーと再会し、いよいよマクーとの最終決戦に挑むギャバン。最終回「ドンホラーの首」の前半で、ギャバンは、サンドルバと魔女キバと対決するも、キバの妖術によって動きを封じられ、とどめを刺されそうになる。しかし、そこへ突然謎の赤い光球があらわれ、ギャバンのピンチを救った。その赤い光球の正体は…宇宙刑事シャリバン。ギャバンの後枠でスタートすることになっていた宇宙刑事シャリバンがなんと、番宣も兼ねて?なのかギャバンの最終回に登場。
当時としては、画期的なサプライズだったが、実は、第41話「魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計」で、森林パトロール隊の隊員として、伊賀電がすでに登場しており、この話の中で電が重傷を負いバード星に送られ、やがてシャリバンになる伏線が張られている。つまり、最終回でのシャリバンの登場は、決定事項だったわけですね。当然、顔見せ程度で、一緒にドン・ホラーを倒すことはありませんでしたが、シャリバンの最終回「赤射・蒸着」では、二人が本格的に共闘しています。
黒いダークヒーローの元祖とも言うべき存在であった『人造人間ハカイダー』。光明寺博士の脳と悪魔回路を持つ。キカイダーの破壊のみを使命とし、その邪魔をするものは、仲間のダークであろうと容赦はしなかった。スケルトン脳と目の下の稲妻模様など独特の風貌に、孤独な破壊者と言う存在感も相俟って、不気味さを醸しつつもとにかくハードでシブいキャラだった。高周波弾を発射するハカイダーショットと呼ばれる銃を左手で操り、白いカラスと名づけられた専用バイクに乗る。登場シーンでは、水木一郎氏が歌う「ハカイダーのうた」が流れる。同系には、『超電子バイオマン』に登場したバイオハンター・シルバもいたが、ハカイダーには、サブローと呼ばれる人間態も存在した。このサブローもジロー顔負けのクールなキャラでカッコ良かった。光明寺博士の脳を持つハカイダーに手を出せず、苦戦を強いられたキカイダーであったが、結局、ハカイダーに倒されることはなかった。ハカイダーは、キカイダーの次の作品『キカイダー01』にも出ていたが、人間態のサブローは登場していない。キカイダーでは、敏腕の殺し屋的なシブい存在だったのに、01の時は、最高科学者の脳を埋め込んだレッド、ブルー、シルバーの3人のハカイダーと手を組み、ハカイダー部隊を結成するも、01の破壊にことごとく失敗。挙句終盤近くになると、コミカルなキャラになってしまっていたのが残念だった。
『科学戦隊ダイナマン』に登場した闇の使者ダーク・ナイトは、42話に突如として登場し、敵なのか味方なのかはっきりとしないその怪しき存在と華麗でシャープな身のこなしが魅力的だった。額の結晶を光らせて、ダークソードを回転させながら闇に消える「ダークナイト闇の舞」、そして闇の中でダークソードを突く「ダークハリケーン」などの必殺技があり、超絶な強さの持ち主。『海賊戦隊ゴーカイジャー』の劇場版辺りに、シルバと同様に登場するのかと思っていたが、結局一度も現れることはなかった。ダークナイトと言えば、今では、バットマンのほうを思い起こす人のほうが大半でしょうから、ますます日陰の存在になりつつあるが、デザイン的にとても好きだったダークヒーローの一人です。ダークナイトにも人間態が存在…と言うより、それが本当の姿なのですが、ダークナイトの正体については、ここでは、あえて触れないでおきます(苦笑)。
ラストは、『巨獣特捜ジャスピオン』のマッドギャラン。暗黒の大巨神サタンゴースの息子であり、各々の惑星から部下達を呼び集めて組織するマッドギャラン軍団の司令塔。全身ブラックのメタリックに、所々イエローを配色しているデザインが、どことなくハカイダーっぽさを感じさせる。白銀のメタルヒーローであるジャスピオンに対して、悪側にもいよいよ黒いメタルを出してきたかと、テレビマガジンで初めてマッドギャランの写真を見た時は、物凄く興奮しましたね。しかも、人間態を演じているのは、ゴーグルブラックやダイナブラックなど、かつて戦隊ヒーローを演じた春田純一さんなので、アクション的にも期待できたし、最高の組み合わせだった。実際、ジャスピオンとマッドギャランとの対決シーンは強烈な戦いが多く、とくに29話の一騎打ちでマッドギャランがジャスピオンにソードを持っていた右腕を切り飛ばされ、コズミックハーレーで倒される場面がとても印象に残っています。地球にやってきた魔女ギルザの妖術によって復活するが、ギルザの登場以降は、ギルザやギルマーザのほうが圧倒的に存在感が強くなり、影が薄くなっていたのが少し物足りなかったが、ジャスピオンとの最終決戦でまた白熱の戦いを見せてくれた。
シャリバンは、前年のギャバンに比べて、とにかくホラー描写が半端なく凄かった作品として記憶にあるのですが、中でもレイダー登場回「総毛立つ幽鬼は死霊界への案内人」のホラー描写は、当時は、おっかなかったですね。レイダーが作り出した幻影によって、鏡で自分の頭蓋骨を見たり、棺桶に収まった自分の死体を見る伊賀電の描写の他にも、ガイラー将軍に撥ね飛ばされたレイダーの首が空中を浮遊して、ガイラーの首に取り付いてしまう描写も恐ろしい。キャンプフャイヤーの炎の中から現れるヒャクメビーストのシーンも炎の演出に迫力があった。とにかく、シャリバンに襲い掛かるレイダーの霊力の恐怖がこのエピソードで余すことなく表現されていた。
この回は、中盤で早々と戦闘シーンに突入し、幻夢界でシャリバンvsヒャクメビースト&レイダーの激しいバトルが展開する。のっけからレイダーは、頭蓋骨をさらした伊賀電に化けて登場し、シャリバンをじわりじわりと追いつめる。レーザーブレードでヒャクメビーストを仕留めようにも、レイダーの激しい霊術に邪魔をされて、何度も身動きが取れなくなるシャリバン。シャリバンクラッシュで何とかヒャクメビーストに撃ち勝つも、伊賀電は、精神を破壊され危篤状態に陥ってしまう。バード星にいるコム長官やギャバンに一報が伝わり、コム長官が再びギャバンに地球担当を命じるやりとりも見られる。
後半は、意識不明の中、電が生と死の境をさまよう場面が展開する。楽園のような「死の国」に誘われるが、イガ星の再興を夢見る電は、強い意志で生への道へ歩み出す。「生の国」の苦難の岩場を登り、目の前に現れたイガクリスタルに触れた時、電は、奇跡的に意識を取り戻す。最近のヒーローものでは、中々味わえない怪奇な恐怖感に加えて、人間の生死をテーマにしているところが大変重いと言うか深いエピソードだった。
数々の特撮もので不気味な敵役を演じてきた安藤三男氏のまさに真骨頂、集大成と言うべきキャラクターだったレイダー。これ以上の不気味な敵役は、二度と登場することはないでしょう。
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