西部署の2代目捜査係長・佐川勘一役を演じた高城淳一さんがお亡くなりになりました。リアルタイムで見ていた時は、初代の二宮係長よりも鼻高々で嫌味のきつい上司と言うイメージで、どちらかと言えば、初代よりも印象が薄かった。と言うのも佐川係長単独のエピソードが少なかったのと、初代と同じく地方ロケで全く顔を見せなかった(二宮係長時代よりも地方ロケのエピソードの数が多かったにも関わらず)のも印象が薄い原因の一つです。唯一の佐川係長単独のエピソードだったPARTⅡの「傷だらけの天使」は、麻薬組織に脅迫されている若い看護婦を救おうと佐川係長が孤軍奮闘する話だったが、当時、人気アイドル真っ只中でありながら、ヘロイン中毒になり禁断症状に陥る看護婦を熱演した松本伊代さんの迫真の演技のほうに目が行き、肝心の佐川係長の見せ場が少なく感じた。しかし、大門軍団を罵りながらも、さりげなく味方をして存在感を見せる佐川係長がとても印象的でした。
西部警察の前身に当たる『大都会PARTⅢ』では、加川課長を演じらていました。この番組は、残念ながらリアルタイムで視聴できなかったのですが、最近ようやくスカパーで全エピソード視聴することができた。渡さん演じる黒岩に嫌味を言いまくる上司で、まさに佐川係長の原型とも言うべきキャラでした。加川課長のほうが少し怒りっぽくて、嫌味がストレートなタイプ。佐川係長は、緩めにぼそっと言うタイプ。
石原プロ作品以外でも刑事役を数多く演じられていた高城さん。『俺たちの勲章』「重い拳銃」では、草津警察の捜査課長・村田役で出演。酒屋で草津節を陽気に歌っている姿が印象的でした。『あぶない刑事』「独断」では、神奈川県警察本部の原熊役。近藤課長のデスクを陣取ってラーメンをすすったり、近藤課長=狸と熊のぎすぎすしたやりとりが印象に残っています。日本の貴重な名バイプレーヤーがまた一人…。高城さんのご冥福をお祈りいたします。
終盤を迎えた『仮面ライダー000(オーズ)』。例によって関西圏は、この時期高校野球の中継のために2週間連続で放送中止。次回は、キー局よりも2話分遅れての放送です。
人間の欲望から生まれたヤミーが成長して怪人となり、その親の欲望を満たすために騒動引き起こす…。毎年ライダーは、前置きなしと言うか、雑誌などで予備知識をいれずに見るタイプなので、いつもその世界観を理解するのに時間がかかります。バイクになる自販機がなぜ町のあちこちに都合よく置かれてあるのかとか、なぜメダルを投入したらヤミーが生まれるのかとか。主人公・映司が欲望を持たない、つまり我欲がない放浪青年というのも曖昧でわかりづらかったが、後に政治家の息子であり、裕福な幼少期を過ごしたために欲望→自分への執着を失ったことがわかり、そこでようやく納得。つまり、映司は、夢を失っているということなのでしょうか。夢も欲望の一部だと思うが、映司の欲望は、戦うことなのか、それとも人を救うことなのか。登場人物達のバックストーリーを知るにつけ、面白味が増していった感があります。終始機嫌の悪いアンクとのコンビネーションも抜群。戦う医者・伊達さん=バースが中盤を盛り上げたのも良かった。最初から出ていたライドベンダー隊の隊長の後藤ちゃんが二代目のバースになったのは、意外だった。バースのデザインは、緑の宇宙刑事にも見えたけど、マスクからはみ出たゴーグル部分は、星雲仮面マシンマンにも見えますね。同じく緑色のグリードのウヴァさんのデザインも良いなあ。ミステリアスなバースの開発者・真木博士と彼が常に持っているあの奇妙な人形との関係、そして、博士がグリード側についてオーズの敵に回る展開も良かった。
串田アキラさんのボイスによる変身音や、軽快なBGMに合わせて繰り広げられるバトルシーンも勢いがあって良いですね。それにしてもオーズのフォームチェンジの派手さが凄まじかった。Wは、左右半身の色が変わり、形態が変わったのは、エクストリームの一回のみだったが、オーズは、7つのコンボチェンジと、3つのメダルの合わせ方によって、百数十通りものフォームチェンジができるというから驚き。劇中では、ほんの少ししかチェンジしていないが、まぁ、いくら一年間の放送期間があるとは言え、全部を見せるのは、不可能ですわな…。あと一、二年ぐらいはやらないと見せきれないのでは(苦笑)。やはり、個人的には、タジャドルとプトティラコンボがカッコ良いと思った。暴走するプトティラコンボは、迫力があります。
タジャドルは、テーマ曲も良かったが、これ英司とアンク役の人が歌っているんですね。最近は、劇中歌のPVも製作されているようです。タイトルは、「Time Judged All」。うまいこと文字ってますねぇ。思わず見入ってしまった。対抗馬として伊達さん+後藤さんが歌うバースの曲「Reverse/Re:birth」のPVもあるし…。昭和時代には、考えられなかった事です(苦笑)。さて、ラストまであと4回。やはり、映司は、完全なグリードになってしまうのでしょうか…!?。
ファミコン初期は、RPGなどはまだなくて、アイスクライマーやらスーパーマリオやらのアクションものが主流でしたが、アクションものと言えば忍者ものがありましたね。『忍者ハットリくん』やら『影の伝説』とか。でも、一番有名なのは、言わずと知れたジャレコの名作忍者くんシリーズ。一作目の『忍者くん 魔城の冒険』は、ゲームセンターでもよくやりましたが、これも含め関連のゲームが次々と作られました。ざっとファミコンで発売されたタイトルをあげますと、
「忍者くん 魔城の冒険」
「忍者じゃじゃ丸くん」
「じゃじゃ丸の大冒険」
「忍者くん 阿修羅ノ章」
「じゃじゃ丸忍法帳」
「じゃじゃ丸撃魔伝」
「忍者じゃじゃ丸~銀河大作戦~」
結構出ていたんですね。実は、リアルタイムでプレイできたのは、「じゃじゃ丸の大冒険」までだったのですが、「忍者くん 阿修羅ノ章」 ぐらいまでは、純粋なアクションゲームで、以後は、RPGの要素も加味されていたようです。ちなみにじゃじゃ丸くんは、忍者くんの弟という設定なので、忍者くんの正式な続編は、「忍者くん 阿修羅ノ章」 のみ。一作目の「魔城の冒険」を初めてやった時の戸惑いは半端なかった。何が戸惑ったかと言うと、「まっすぐにジャンプできない!」こと。マリオだってアイスクライマーだって、この手のアクションゲームは、垂直にジャンプできるのが普通なのに、「魔城の冒険」は、斜めジャンプしかできないので、うまく操作できず何度も敵キャラにやられてしまい、当時は、あまり得意ではなかった。で、おもいっきりハマったのが、2作目の「忍者じゃじゃ丸くん」。これは、無我夢中でやりまくった。前作との違いは、4段層の横スクロールになったことと、格段の床のどこかに武器が隠されており、頭突きで床を破壊していって、武器を発見して使うことできる。そして、前作では不可能だったまっすぐなジャンプができるようになったこと。垂直にジャンプするって結構重要なんだと思い知らされた作品でもありました(笑)。
武器には、トロッコ、赤球、スーパー手裏剣、薬瓶の4種類あり、そのうちの3つを集めるとガマパックンと呼ばれる巨大なカエルが登場し、敵キャラを金縛りにかけて食べ尽くす。なまず太夫に捕まったさくら姫を救出することがこのゲームの目的らしいのだが、なまず太夫を倒せるのは、ボーナスステージだけで、しかも手裏剣一発で倒せると言う貧弱さ。ボーナスステージには、最上段にいる桜姫が1ステージごとに1枚投げ落とす桜の花びらを3枚を集めると入れるのだが、なまず太夫を倒して、桜姫を救出しても、通常のステージは、延々と続いていく。当時は、終わりのないエンドレスなゲームが当たり前でしたから、そんなに気にはしなかったけど、今考えると色々とおかしな点に気づきます(笑)。各ステージの4階に必ず大将的な敵キャラがいて、床を破るとそいつがやたらとしつこく追いかけてきて攻撃しまくってくるのだが、大体は、そいつと相打ちになったり、逃げ回っているうちになまず太夫の爆弾をくらってやられるとか、爆弾を避けるためにしばらく待機していたら火の玉があらわれて焼き殺されるとかのパターンで死ぬことが多かった(汗)。
4つの武器の中では、トロッコが一番使い勝手が良くて、敵キャラを次々とスピーディーに轢き倒していけると爽快なのですが、赤球とスーパー手裏剣は、能力的にそんなに大差がないのでもう一つ違った武器が欲しかった。薬瓶を使うと透明になることができ、普通に倒せる敵にはとても有効なのだが、一つ目玉のピン坊とか、ぬり壁のような見た目のカクタンみたいな気絶させないと倒せない敵キャラには、不利な武器(透明になると体当たりして気絶させることができない)で、ピン坊とカクタンだけが登場するステージでは、出て欲しくないアイテムだった(苦笑)。
「きゃほおぅぅ、トロッコだぜ!これでこのステージは楽勝♪」
「ゲゲッ!」
「あれは、爆弾。これが本当のトロッコ。こんな間違いで何回やられたことか…(汗)」
一度見てしまったけど、なぜだかもう一度見返してしまっている『ザ・シールド~ルール無用の警察バッジ~』。この作品、思っていた以上に過激な描写が多くて、よくテレビで放送できたなぁとびっくりする程。主演のマイケル・チクリスを始め、あまり見かけたことがなかった役者達が何やらきな臭い刑事役をやっているし、どこまでついていけるか微妙な感じだったのだが、シーズン5から見始めたらあれよあれよと最終回まで見てしまい、次の連日一挙放送で全話見尽くしてしまった。ロサンゼルスの下町ファーミントンで起こる麻薬犯罪・殺人・強盗・レイプ事件にただ正義感を貫いて果敢に挑むのではなく、事件解決のためには、手段を選ばず、犯罪者と癒着してみたり、時には、殺人までやってしまうのがファーミントン署の「ストライク・チーム」。過激なストライクチームのやり方を問題視したアセベダ署長は、テリー刑事をチームに送り込んで潜入させるのだが、それに気づいたチームのリーダー・ヴィックは、テリーを射殺してしまう。シーズン1の初回からこんな衝撃的な展開で始まるのだから、その時点で普通のドラマでないのは明白。これ以前の刑事ドラマの常識が全く通用しない。それがシールドの世界なのだ。
本国では、全7シーズン88話で終了し、日本でもAXNが最終シーズンまで放送したが、現在、再び放送中です。前の連日放送で「これで見納め」などと煽っていたのに、好評なのか、また放送している・・・いや何度放送されてもいい面白いドラマなのですが。現在、シーズン3が終了し、今週からシーズン4がスタートするが、ストライクチームの運命を大きく揺るがす事件が起きるシーズン2からの展開が秀逸。固い絆とチームワークで様々な事件を解決してたきたストライクチーム。しかし、アルメニア人ギャング達がマネー・ロンダリングをして得た資金「マネー・トレイン」の強奪計画を見事成功させたことをきっかけに、チームの絆が亀裂が…。シーズン3からは、マネー・トレインによるゴタゴタが起き始め、捜査上やむを得ずマネートレインの金を使ったヴィックに続いて、シェーンも車を購入したり、妻のマーラが勝手に使い込んだり…。しかも、マネー・トレインの金に司法省がつけた印があることが発覚し、ストライクチームに少しずつ焦りの色が出始める。日常的に繰り返される暴走があらぬ方向へと転がり、運命の糸が少しずつ狂い始めていく・・・ぶっ飛んだストーリー展開と黒い刑事達の危険な駆け引きに夢中になってしまう。
このドラマのプロデューサーは、かつて『刑事ナッシュ・ブリッジス』なども担当したショーン・ライアン。シーズンごとに有名な俳優さんがゲスト出演しています。シーズン2には、『ロッキー』のアポロ役や『プレデター』でシュワちゃんとマッチョぶりを競い合っていたカール・ウェザースがヴィックの先輩の元刑事役で出演。『ベロニカ・マーズ』『HEROES』に出演したクリスティン・ベル、シーズン3には、『HAWAII FIVE-0』『LOST』『24』などに出演するダニエル・デイ・キム、『危険な情事』『エアフォース・ワン』のグレン・クローズがアセベタの後任の署長役で出演しています。劇中では、一切BGMは流れないこのドラマですが、それだけにオープニングの短いテーマ曲が格別に印象に残ります。
存在するが劇中では、一度も流れなかった。
刑事ドラマには、欠かせないOP&ED。テーマ曲は、物語を盛り上げ、また印象付ける重要なファクターですが、最近の刑事ドラマのオープニングは、短い上に、オープニング、またはエンディングのどちらかがカットされることがほとんど。それでも、印象に残るものは、ありまして、まず『BOSS』のOP。Superflyの「Alright!!」と共にゴージャスな衣装をまとった刑事達がきらびやな簾を潜って颯爽と登場し行進するあのOP映像。本当に短いが、あれはあれで結構インパクトがある。 去年放送された『ジョーカー 許されざる捜査官』の主題歌、RIP SLYMEの「SCAR」。怪しいラップの響きが劇中の映像と素晴らしくマッチして耳に残った。『相棒』の最新シリーズのOPも短いが、ドラマのイメージをコンパクトに表現していてわかりやすい。だがしかし、どれも物足りなさは残る。『ケイゾク』のOPは、不思議なフラッシュバックの映像がユニークかつ謎めいていて面白かった。でも、OPとEDがそろっていた時代の刑事ドラマのほうが印象強く残ります。
『あいつがトラブル』…ひょうきん族終了後のフジ土曜8時枠で放送された刑事ドラマ。主演は、『スケバン刑事2』で人気を得た南野陽子と太陽にほえろ!のマカロニ刑事役で一世を風靡したショーケンこと萩原健一が失踪人課の課長役を演じる。突如フジがフィルム制作の刑事ドラマを放送し出したことに、当時は、なぜだか衝撃を受けたが、このドラマには、後に名作の刑事ドラマで活躍を遂げた織田裕二や宍戸開なども出演していて、今となっては、中々貴重な作品。OPは、ピカソの『SHOUT』。『あぶない刑事』辺りから英語の曲を使った刑事ドラマを多く見かけるようになったが、この曲もおしゃれでいかにも若者向けのスタイルだった。EDの久保田利伸の 「MOVING TARGET」もカッコ良くて、CD探しまくったけど見当たらなくて、とてもがっくりした記憶が。このドラマBGMも結構良いのがたくさんあったけど、結局サントラは発売されなかったなぁ・・・。
『代表取締役刑事』…『西部警察』『ゴリラ警視庁捜査第8班』に続いて、テレ朝日曜8時枠に放送された石原プロの刑事ドラマ。主演は、同年に日テレの『刑事貴族』で牧刑事を演じ、その後テレ朝に移動して再び刑事役を演じた舘ひろし。石原プロがお得意だったこれまでのアクション路線からやや人情味をプラスした路線にシフトされたが、たまぁに大掛かりな爆発もあったり、ソフトなアクションシーンも見られた。主題歌は、今や世界を凌駕する日本のロックバンドB’zの『孤独のRunaway』。この時期、テレ朝の番組でB’zの曲をよく聴いたが、ホントにテレ朝専属のユニットグループなのかと勘違いした程(笑)。ミュージックステーションなんか、今も松本孝弘のギター・ソロのテーマ曲を使っていますしね…。ちなみにエンディングもB’zの『愛しい人よGood Night...』。こちらは、シングル化された。エンディングは、3度変更されているが、一時期T-BOLANの曲も流れたこともあり、有名なロックグループの曲を使用していた事でも強く印象に残っています。
『刑事貴族』…日テレプラスの放送では、先週、惜しくも牧刑事が殉職し、今週から郷ひろみ演じる風間刑事編がスタートするこのシリーズ。主演の刑事が変わるたびにOP&EDが変更され、本城編では、3度が変更されていましたが、そのテーマ曲の変遷は、中々興味深かった。一番好きなのは、やはり、牧編の『CALL FOR ACTION』ですが、その次は、『刑事貴族3』の前期に使用されたコルベッツの『DANGER CITY』で、3番目が風間編で使用されたライナセロスの『JUMP BACK,JACK』。うちのHPでは、『刑事貴族2』までのサントラしか紹介しておりませんが、『3』のサントラもリアルタイム放送時に購入したものを今でも大事に保管しております。OPの映像がどんどんアグレッシブになっていって、『3』では、画面分割をさらに多用したスタイリッシュでテンポの良い映像になっていましたが、DANGER CITYの曲との一体感がもの凄く良かったと言うか、マッチ感が半端なかったですね(笑)。
最近映画やドラマでよく聞く『ジャック』という名前。ジャック・バウアー、ジャック・シェパード、ジャック・スパロウ…。現実の世界でもジャック・ニコルソンにジャック・レモンにジャック・ロードに、昔からいろんなところでジャックの名前を聞くが、映画の世界で一昔の前によく聞いた「ジャック」と言えば、トム・クランシーのあのシリーズ…ジャック・ライアン三部作。『レッド・オクトーバーを追え』『パトリオット・ゲーム』『今そこにある危機』。気づけば、この三部作も公開されてから二十年近く経ってしまっているのですが、劇場にも観に行ったし、小説本も買ったし、テレビの吹き替え版もよく見たし、自分の中でもお気に入りの三作品であります。三作品を振り返り、少し紹介しておきますと、
『レッド・オクトーバーを追え』…祖国の体制に不満を持ったソ連北方艦隊潜水艦艦長のマルコ・ラミウスとその部下達は、最新潜水艦レッド・オクトーバーに乗り込み、アメリカに向かう。国家最高機密の漏出を阻止すべくソ連海軍は艦隊を総動員して、アメリカ東海岸へ向かった。CIAは、レッド・オクトーバーがアメリカへ亡命を図ろうとしている事を知り、ラミウスの真意を確認するため、CIAの情報分析アナリスト、ジャック・ライアンにその任務を与える。アメリカ海軍の原子力潜水艦ダラスに乗り込んだライアンは、レッド・オクトーバーを見つけ乗船し、ラミウスに亡命を手助けするための作戦を提案する。アメリカの偽装工作が成功し、ソ連艦隊は、レッド・オクトーバーが沈没したと思い込み、大西洋から去るが、ソ連潜水艦の艦長が偽装工作を見破り、攻撃を始めた…。
潜水艦ものの映画を見たのは、もしかしたらこの作品が初めてだったかもしれない(その後、『Uボート』や『クリムゾン・タイドにもハマったが〉。映画公開時は、まだ冷戦下だったが、その翌年(1991年)にソ連が崩壊し、世界情勢がめまぐるしく変化していた時代に作られた作品なので、よりリアルに映った。ソ連とアメリカを巡る対立を描いたアクション映画やドラマは、例えば007シリーズやエアーウルフなどたくさんあったが、この作品のような政治的な駆け引きを本格的に描いた作品は、初めてだったので、その緻密なストーリーの壮大さと終始漂う緊迫感に圧倒された。監督は、『ダイハード』を撮った直後のジョン・マクティアナンだったから、作品の面白さは、十分に保証されていた。この映画の主人公は、ショーン・コネリーが演じたラミウス艦長で、ジャック・ライアンは、ラミウスのサポート役的な立ち位置だったが、アレック・ボールドウィンが演じた若くて初々しいライアンも魅力的だった。
『パトリオット・ゲーム』…アイルランド共和国軍(IRA)のテロリストのリーダー、ケビン・オドンネルのグループが、イギリス王室のホームズ卿を襲撃するが、アメリカから家族を連れてロンドンへ観光に来ていたジャック・ライアンによって阻止される。ライアンに弟を殺されたIRAのメンバーの一人ショーンは、アメリカに戻ったライアンの家族を標的にし、ライアンの妻と子供に瀕死の重傷を負わせる。ジャックは、CIAの協力を得ながら、家族を狙ったショーンとテロリストの行方を追う。
この映画では、ジャック・ライアンとその家族を中心に描かれており、ライアンが初めて主人公として活躍する作品だった。『スター・ウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』を経て、よりシブ味を増したハリソン・フォードがライアンを演じ、作品のアクション性を高めてくれた。本来は、前作でライアンを演じたアレック・ボールドウィンが引き続き、この作品でもライアンを演じるはずだったのだが、舞台に出演するため降板してしまったようだ。アレックは、ボンド役もハマりそうだなぁと当時は、アクション映画での活躍もほのかに期待をしたものだが、その後の出演作を見ると、色々ともったいない話である。
『今そこにある危機』…ベネット大統領の友人ハーディン一家が惨殺され、その犯人の2人がコロンビアの麻薬組織カリ・カルテルのメンバーであることが判明する。麻薬撲滅を公約に掲げてきた大統領は、「麻薬カルテルはアメリカにとり、今そこにある危機だ」と言い、ジャック・ライアンがハーディン事件の捜査に当たることに。ライアンは、ハーディンがカリ・カルテルの資金洗浄係であることを突き止め、彼がカルテルの資金を着服したために、カルテルを率いるエルネスト・エスコベドに殺害されたと推測。一方、エスコベドの部下で、かつてキューバで活動していたフェリックス・コルテズがアメリカに密入国し、恋仲であるFBI長官の秘書モイラと連絡を取り合い、アメリカ側の動きを探っていた。パナマに渡ったCIA作戦担当副長官のロバート・リターは、CIAの諜報員クラークに会い、秘密作戦の指揮を取るよう要請。クラークは、秘密部隊を率いて、コロンビアに潜入し、ライアンもそこへ向かった…。
前作に続きハリソン・フォードがジャック・ライアンを演じた作品だが、この作品で存在感を発揮していたのが、CIAの諜報員クラークを演じたウィレム・デフォー。ウィレム・デフォーと言えば、『プラトーン』の名演が未だに頭に焼き付いているが、一時期は、戦争もの映画の常連さんと言うイメージが強かった。戦争アクションものにしては、やや話が難解で人間関係も複雑であり、事前に小説を読んで予習しておかないとわかりづらい部分もあったが、クラークのカッコ良さは、大いに伝わる作品だ。
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