名優・地井武男さんがお亡くなりになられました。地井さんが演じた役の中で、一番印象深いのは、やはり、『刑事貴族』シリーズの武田秀彦刑事=通称・タケさんでした。牧編では、地道な捜査を淡々とこなし、的確に情報を掴んで行く人情味と頼りがいのあるベテラン刑事と言った感じで、時には、部下を怒鳴りつけたり、かなり厳しい一面を持っていた。しかし、『刑事貴族2』以降になるとその厳しさがコミカルな要素となり、本城とのやりとりでは、弄ばれ系のゆるゆるないじられキャラに風変わり、そのギャップが面白かった。今思うと、1990年代以降、本格的にバラエティ番組の出演が多くなったことを考えると、地井さんは、この刑事貴族のタケさんと言う役である意味2度目のイメチェンを果たされていたのかもしれません。
70年代の野良猫ロックシリーズでは、ものすごくイカつくて、ギラギラした悪党と言うイメージが強くて、悪人のような凄みのある顔つきがちょっと怖い感じもしました。この時代は、ハードな役柄が多かったせいもありますが、80年代に入って、『太陽にほえろ!』に井川利三刑事=通称トシさん役で出演された時は、髪が短くなって、確かに厳しさも残ってるけど少し柔和な顔つきになっていたのが印象的でした。演じた役柄にも大きく関係しているのでしょうが、30代、40代、50代と年代によってこれほどイメージが変わった方も中々珍しいです。太陽にほえろ!のトシさんの進化系がタケさんで、ゆるいタケさんの進化系がバラエティ番組の地井さんと言う印象。
ところで、地井さんと言えば、トシさん役で太陽にレギュラー出演する前に犯人役で一度ゲスト出演しているエピソードがあったそうです。それが現在お蔵入りになっている「ライフルが叫ぶとき」。このエピソードは、子供を人質に取り、廃屋に立てこもった地井さん演じる殺人犯が石塚誠刑事=通称・ゴリさんにライフルで射殺されると言うお話だったようです。ウィキペディアによると、ドラマ上でゴリさんが使っていたライフルがモデルガンではなく、本物だったらしく、警視庁から厳重注意を受けたため再放送が自粛になってしまっているんだとか。差別用語が多いとか、ストーリー上に問題点がないのであれば、ぜひとも拝見してみたい一編なのですがねえ。ギラギラした時代の地井さんをもう一度見てみたいですね。
70と言うのは、男にとって鬼門なのでしょうか。最近70、71、72歳ぐらいで亡くなられる方が多いです。さよならタケさん。地井さんのご冥福をお祈りいたします。
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