2010年から2年近く放送された『ザ・シールド』が最終回を迎えた。シールドは、AXNでこれまでに何回も放送されていますが、最初に見たのは、5年ほど前、スカパーに加入した時のこと。その時、丁度シーズン5の中盤辺りが放送されていたのですが、途中から見始めたので、話の流れを掴むのに大分時間がかかりました。当時は、続き物だと思っていなかったので、いきなりレンが仲間に殺される展開を見た時は、わけがわからなかったが、その後、シーズン1から通してみると、その内容のハードさに加えて、あのレンの死の衝撃とインパクトがさらに強烈に伝わってきてなんとも言えない気持ちにさせられたのを覚えている。
まあとにかくこのドラマ、シーズン1から過激で強烈な映像が次から次に出てきて、ストライクチームって本当に刑事なのか、刑事の皮を被った犯罪集団なのか、頭の中がこんがらがったが、ドラマの主人公ヴィックも最後は、頭がこんがらがってどうしようもない精神状態に陥っていたのではないだろうか。常々仲間を守るためと言ってきたヴィックが最後は、家族のために仲間を裏切り、自分だけ助かろうとした…。ベルトランの逮捕に利用され、最後は、ヴィックによって地獄に突き落とされたロニーも叫んでいたが、本当に酷いやつだ。でもなぜだか最後まで憎めなかったな…。最初は、家族と仲間を均等に守り抜こうとしていたヴィックだが、レンの死とシェーンとの不協和音が始まってから、そのバランスが音を立てて崩れ始めてしまった。そして、ヴィック以上にどうしようもない状況に落ちてしまったシェーンのあの最期の手紙が物凄く頭に焼きつく。シェーンもヴィックと出会わなければ、ダッチみたいに口上手に上司とうまくやっていたのだろうか。ダッチ自身も精神状態が不安定な時があって、首を絞めて猫を殺したり、色々問題のあることもやっていたが、ファーミントン署の中では、極めてマシな刑事だったな…。
それにしてもこの最終回の展開は、本当に無情と言う言葉しか思いつかない。ストライクチームが破滅に向かって突き進んでいるのは、わかっていたけど、まさしく見事な破滅ぶりだった。シェーンは、妻のマーラと子供のジャクソンを連れて逃げ回り、最後は、デビッド・ジャンセンの逃亡者のような感じになっていたが、リチャード・キンブルには、まだ救いがあったが、シェーン夫婦は、本当に救いようのない逃亡者だった。アクシデントとは言え、シェーンと同じくマーラ自身も人殺しをしてしまうし。しかし、一番かわいそうなのはやはりジャクソンとマーラのお腹の子供。未来まで奪われてしまったし。
移民局との取引で、これまでの全ての罪を自白し、免責を受けたヴィックは、自分と家族を守り抜いたが、結局、家族には、裏切られた挙句、どこかへ消え去られてしまった。家族の居場所を知らないまま、スーツを着てデスクワークの職に就いたヴィック。悪事を企てながらもこれまで現場一筋だったヴィックにとっては、地獄のような苦しみになるだろう。ヴィック、最後は、シェーンと撃ち合って死ぬと思っていたんだけど、それと同じくらい、生きながら殺された感じに見える。ヴィックのことだから、あのラストシーンの後、銃でオリビアを脅して家族の元へ向かったのかもしれない。本当に脚本がもの凄く良くできている面白い刑事ドラマでした。取調室でクローデットと話した後、監視のカメラの前に立ち、悪魔のような顔を浮かべたヴィックの姿が忘れられない…。
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