先月からサンテレビでスタートした大映ドラマ『ヤヌスの鏡』があっという間に今週最終回を迎えます。5年位前にスカパーのホームドラマチャンネルで放送されていましたが、久しぶりの地上波で放送なので改めて見直しています。
厳格な祖母の下で育てられた小沢裕美は、お昼は高校に通う優等生、夜は、暴走族をも震え上がらせる不良娘・大沼ユミに変身する。服装も性格も正反対の二人が同一人物であるという不思議な設定が壮大な物語を生み、毎回とんでもない展開になるところが面白いですね。ただ変身する時になぜ髪型やメイク、衣装まで変わってしまうのか、リアルタイム視聴時から疑問に思っていましたが、変身ヒーロー風の演出だと思えば、とくに何の問題もないわけか(笑)。
15話の「悪魔の棲む館」では、ユミが小沢家を乗っ取り、裕美のおばあちゃまや、養父母を召使いのごとく扱うまさに女王様のような状態に。サブタイトル通り、小沢家に悪魔がとりついた展開になっていた。ユミが裕美の父の河本達之をマンションの階段から落としたり、おばあちゃまが裕美に悪魔祓いするなど、エクソシストを彷彿とさせる演出も見受けられますね。
ナイフで刺されても痛みを感じないユミって超人ですよね。そのユミが合気道の技を使って、野獣会の不良どもや差し向けられた殺し屋をサクサクと倒してしまうんですが、その合気のアクションが今見ると新鮮で中々カッコ良い。アクション演出もしっかりしているし、カメラワークやカット割りなども含め、当時の特撮ヒーローものや時代劇アクションを彷彿とさせるものがあります。電波人間タックルの電波投げももしかしたら合気の技から来ているのかも(笑)。山下真司氏演じる裕美の担任の堤先生も合気道の達人で、ユミ以上の腕前を持っている。堤先生は、時折、スクールウォーズの滝沢先生に見えてしまうほど、裕美と接する時はとても情熱的。やはり、滝沢を演じた後の堤先生だから、色々と説得力もあり、魅力的に見えてくるんですよね。
ユミに一目惚れして、彼女に命を賭ける少年河本達郎=たっちんもキレの良い動きを見せている。達郎を演じる風見しんごさんのブレイクダンスは今見ても圧倒されますね。アクション場面でも身軽にアクロバティックな動きを見せていて驚いた。当時は、欽ちゃんのバラエティの人と言うイメージが強かったのですが、もっとアクション系のドラマのほうでの活躍も見たかったですね。
裕美のおばあちゃま・小沢初江役の初井言榮さんの凛々しい演技に毎回引き付けられます。リアルタイム時は、自分も子供だったので、裕美にきつく接するおばあちゃまに反感を持って見てましたが、今見ると、おばあちゃまはおばあちゃまなりに裕美を立派な大人に育てようと努力していたわけですね。裕美の高校の校長役を演じている中条静夫さんもそうだけど、やはりあの辺りの世代の人の演技は、上品で声の張りも良くて、ものすごく安定感があるんですよね。今は、そういう役者が少なくなってきているのが残念ですね。
そして物語はいよいよ佳境へ。野獣会と手を組み、河本が経営する宝石店からダイヤを盗み出し犯罪者となってしまったユミ。しかし、裕美は、ユミが仕出かした悪事など全く知る由もなく、ひたすら運命に身を任せるまま。クラスメイトの生徒会長に不必要な監禁生活を強要され、堤に救い出されるも警察に捕まり、挙句は、父親の秘密部屋に連れて行かれて、そこでまた監禁生活を強いられそうになる裕美。しかし、その部屋には、ユミのことを忘れるため、一人旅に出ていた達郎がいて、またも一波乱起きそうな雰囲気。裕美とたっちんは、異母姉弟。裕美の絶望的な心情を知り、一緒に自殺しようとしたたっちん。固い絆を見せ始めた二人にこの先どのような運命が待ち構えているのか。そして、裕美ともう一つの人格ユミ、二つの人格の行方も気になるところ。
主題歌「今夜はANGEL」も物凄くインパクトありましたが、初回に流れていた挿入歌「チェンジ・ミー」も劇中のユミの心情を歌っているような感じでとても印象的。これも海外アーティスト(HUBERT KAHの「Angel07」)のカバー曲だったんですね。
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